お茶零した。

作家・尼野ゆたかの日記です

「ショートショートバトル5」に参加してきました 前編(作品感想など)

というわけでショートショートバトルに参加してきました。

 

 

 

amanoyutaka.hatenablog.com

 

 

ルールは事前打ち合わせなし、お題・タイトル・雰囲気があり、当日観客の方が書いたものなどからくじ引きで決定。
二人または三人の二チームに分かれ、一人30分の持ち時間で競い合う。みたいな感じです。


自分は川越宗一さんと木下昌輝さんと組んで執筆するという形と相成りました。順番は自分、川越さん、木下さんです。
歴史小説の最前線で活躍される二人の前という凄まじい組み合わせですが、個人的にはもう一つ大きな意味がありました。

 

 

 


そう、「戦国昼寝姫」を執筆する際に、お力をお借りした方々なのです。

昼寝姫の後書きでも触れましたが、木下さんには書くにあたって悩んでいた点についてアドバイスを、川越さんには歴史を扱う小説への思いを聞かせて頂きました。

そのお二人と組むとあっては、これはもうそういうネタを用意するしかありません。不遜極まりない話ですが、ここで変に気をつかってはかえって失礼というものと思い全力投球いたしました。

 

 

なんせ考えている暇がないので(今回初参加のもやしいためさんも仰っていましたが、舞台上の30分とか本当にあっという間です)文章とかディテールとか実に大ざっぱですが、
川越さんはしっかりキャッチした上でかましてくれました。
具体的な内容は、上のツイートのリンクからご覧ください。いやほんと考えもしない流れで仰天しました……。自分の作家人生がこんな形で司馬遼太郎と交わることになるとは思いもよらなかった。
そして書き終えた後での我孫子武丸さんとの対談でも触れられていた通り、この行間には熱いエールが込められてもいるわけで。よーし、僕も頑張ります。(ちなみに川越さんには「難しかったっすよ笑」みたいに言われてしまった。てへ)

 

 

そして、それを受けての木下さんの字面通り疾走する展開。会場ではどっかんどっかん受けて、後からネットで読まれた方からの面白かったという反応を拝見しましたが、それも納得です。リスペクトと愛情がある故の惨劇。

首を取るまでの足を払って短刀を抜いてという手順がきっちりしたものだったり*1、 最初にでくわすのが福島正則*2だったりと細かいところがちゃんと戦国時代の小説しているところにも唸らされます。さすがですよこれは。

 

 

 

 

同じテーマで挑んだ西軍。
ご本人にもお伝えしましたが、延野正行先生がこれだけのことを一度にやられたのが驚きです。30分で思いついてまとめる量じゃないですよ。

 

そして一番手としてショートショートバトルをやってみると分かるところでありますけれども、後ろの人はみんな好き勝手やるので笑、当初の想定なんて影も形も残らないんですよね。
しかし、延野さんはきっちり後ろの二人に「書かせた」わけで、これは一番手として殊勲賞みたいなのがあれば延野さんが受け取るべきものでは!

 

その設定を引き継ぎながら書かれたのが、もやしいためさん。
伺ったところ、当日延野さんに騙されて連れてこられて参加する羽目になったそうですが、そんな状況にもかかわらずここまでやられてて凄いです。何があるのかもよく知らずにやってきて参加したっていう人は多分初めてではないでしょうか。
現在忙しくて中々執筆のお時間が取れないそうですが、今後の活躍に期待ですね。

 

 

そしてまとめられた今村昌弘さん。この見事なアイデア! そうかそうなるのか、色が分かれていることにもしっかり意味がとなります。

更に、ただ話をまとめるだけではなくそこにきっちり寓話的なテーマ性も織り込んでいるという技もお見事です。これはもう拍手ですよ。

 

 

終わった後こんなことを仰ってますが、多分今村さんの筆は頑強過ぎて筋肉ムキムキな今村さんでも折れないと思います。

 

 

 

 

 

こちら、会場の放送のアーカイブです。
今までにも我孫子武丸さんが何度か仰っていますが、やはり実際に現場でわいわいと見るのが一番楽しいかと思います。
今回は特に満員御礼ということもあって、とても盛り上がりました。これからもそうなるといいなあ。作家の方も読者の方も、気軽にどうぞ。

 

 

 


ちなみに尼野ゆたかは盛り上がりすぎてこんなことになっていました。
五歳児の晩ご飯じゃないんだから……

 

 

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ホラー小説家の最東対地さんにはこんなことを言われましたが、多分やってないと思います。

 

 

後半の作品については記事を分けて書きました~。

amanoyutaka.hatenablog.com

 

BGM: Revenge Is My Name / Kidzed

*1:「戦国の教科書」では、首実検をテーマに短編を書かれています

*2:関ヶ原宇喜多秀家の軍勢と戦ったのが福島正則