尼野ゆたか的仕事始め。下の妹は有休を取ってますが、上の妹も今日かららしいですし、割と世の中に合わせた感じでありましょう。
仕事のペースはまあ中々。松の内の間に全部まとめ上げられればと考えていますが、さあできるかどうか。どうやるかはほぼ決まってんねんけどなあ。なんとかメリハリつけて仕上げたいところ。
さて、元日早々ぶち上げたチェンジ&チャレンジ計画ですが、休むとか原稿がどうだとかそういうあれこれもさることながら、他の部分でもあれこれ変えております。たとえば、PC用のスピーカー!
尼野ゆたかのPCスピーカー歴
かつてPCのスピーカーはBoseのCompanion3の初期型を使っておりました。
確か初めての印税で買った思い出深い一品で、10年近く使ったのですが、2年ほど前に壊れてしまいました。ベースモジュールの置き場所が悪かったかなあと今では思います。窓際で夏場とか暑かったんですよね。しまったなあ。
その後はR-10というロジクールのスピーカーを使っていました。
見るからにシンプルなつくりのスピーカーですが、シンプルなだけにタフなのか壊れません。こちらも年季の入ったものなのですけどね。
これはこれでよいのですが、音もやはりシンプルであり、映画やドラマの台詞が聞き取りづらいことがあったり、いまいち迫力に欠けるところもありました。
とはいえ買い換えられるかというと、お金があるとはまったく言い難く、更に諸々の事情でそもそもお金を使うわけにもいかない尼野ゆたかでありまして、大人しく使い続けていたわけでした。
そんなある日、親戚から連絡がありました。いらないDVD/CDコンポがあるので、譲ってくれるというのです。外部入力はあるので、サウンドカードから繋げればどうにかPCスピーカーとして運用できるというわけですね。
DVDコンポがやってきた
メーカーはダイナコネクティブなるところ。ど、どこやそれ……と思ったら潰れていました。ベンチャー的な手法で家電業界に参戦するも、体力が続かず限界が来たという感じなようですね。
聞いてみると、親戚も捨て値で処分されていたのでとりあえず買ったものの、DVDコンポという存在がすっかり時代遅れになり持てあましていたのだそうで。なんにせよもらえるのなら有り難いということで譲り受けました。
一応アンプもあります。ご覧の通りスピーカーにサランネットもついてて、中々それっぽい雰囲気出てますね。
発売当時のプレスリリースがネットに残っていました。店頭価格は3万5000円前後だったようです。
記事を見ると13年も前に発売されたものみたいですが、状態は新品そのもの。これはいけそうなのでケーブルを繋いでみたら、ばっちり音が出ました。感想は……うんいいぞ!
いやー、さすがに様変わりした感じです。(あくまで相対的にではありますが)出てくる音はパワフル、分離も良くベースがしっかり抜けてきて、より迫力を味わえるようになりました。音がデカければデカいほど楽しくなるタイプの音楽を主に聴いているので、実に嬉しい!
ちなみに再生に使ったのはこのアルバム。手近にあったCDの中で一番よく聴いていたアルバムというくらいの理由です。タイトルナンバーはメタル史上に残る名曲。
みたいにご機嫌な尼野ゆたかなのですが、はてさて3万5000円というと、オーディオ趣味の世界で言えばせいぜいがエントリークラスでしょう。となると自分の感動は、通の方からすればいずれも「相対的」にという程度のもののはず。「よい音」というのは、もっと追求した先にあるはずです。
なんて風に考えていると、疑問に突き当たりました。真によい音とはなんでしょう? それははたして自分に分かるのでしょうか?
いい音が分かるということ
昔バンドのサークルにおりまして、必然的に楽器に真剣に取り組む友人が沢山できました。彼らの音に対する感受性やこだわりは尋常ではなく、CDを聴いただけで「これは○○のピックアップ*1っぽいな」と聴き分けたり、楽器やアンプヘッドやエフェクターのみならず弦やピックやシールドに至るまで徹底的に選び抜いたりと、傍目にも圧倒されるばかりでした。
卒業後もデスメタルバンドのギタリストとして活躍し海外にもあっちゃこっちゃとライブしに出かけていたY内くんなどは、この前会った時「前お世話になったレコーディングスタジオでは医療用のケーブルを使っていた。生き死にに関わるもので遅延がなく、一番優秀だからだ」という話を聞かせてくれました。なんてこった……。こっちら、直接的に使用する道具は安くてキータッチの軽いキーボード(重いとだるくなる)と一太郎くらいしか買ってないぞ……。
自分には彼らのような耳は残念ながらありません。楽器を熱心にやる人間でなくとも、たとえばクラシックファンの方でも「これはベーゼンドルファー*2だな……」「この時代のベルリンフィルの弦は……」とか聴き分けておいでですし、オーディオを趣味にする人はきっとスピーカーやら音源やらのブラインドテストとかも余裕なのでしょう。
となると、自分は彼らほど「いい音」が分からないということになります。だとしたら、スピーカーを変えたりする意味があるのでしょうか。ロジクールでいいのではないでしょうか。
しばし考えて、結論が出ました。いやいや、やっぱりある程度は意味があるはず。なぜか? 上にも書いた通り、大きな音で聴いた時に楽しく感じられたからなのです。
自分にとってのいい音とは
音楽を聴くという営みは、個人的なものです。同じ音楽を同じように聴いても、同じように感じることはありません。
たとえば、アメリカのベテランデスメタルバンドであるMorbid Angelのニューアルバムが発売されましたが、昔からMorbid Angelが好きでライブにも行った尼野ゆたかが聴くのとデスメタルといえばデトロイトメタルシティくらいしか思いつかない人が聴くのとでは全然受け取り方は違うことはすぐ分かるでしょう。
だからこそ、自分は「音楽は聴けば分かる。音楽評論の類は不要」という意見には与しないわけですが、そこまでいくのは別の話になるのでほどほどにするとして。
要するにたとえ物理的波形的に同じ音であっても、聴く人間によって感じられ方が全く違うのが音楽だといえるということです。
で、あるなら。自分で気に入る音、楽しく聴ける音だったら、それは他者から見てどうであっても十分意味があることではないのかなーって。
とここまで書いたところで、購読している某メタル専門誌でステレオ関係のお仕事している方がコラムで繰り返しこんな感じのことを書かれていたなあと思い当たりました。ああ! 無意識のうちになぞってしまっていた! オリジナリティが足りない!
上で触れたMorbid Angelのアルバム。世界が滅ぼされる感満載のジャケがええですね。
まだ聴けていません。昔のメンバーが戻ったりしてるんですよね。どんな感じかなー。
尼野ゆたかにとってのいい音とは
さて。自分にとってのいい音とはどんなものかといいますと、やはり高校の頃にメタルに興味を持ちだしたので、そこを中心にした時期で受けたインパクトが座標軸になろうかと思われます。
それは、たとえば神戸三宮の雑居ビルにあったメタルのグッズショップでマニアックなメタルを沢山流していたBoseのつり下げ型スピーカーであったり、京都河原町の中古CD屋にあった電気ストーブみたいな形をしたJBLの円筒型スピーカーだったり、雑誌に広告が載ってたKENWOODのコンポだったり、サークルのみんなが2ホールや3ホールでどかどか鳴らしていた音だったりするわけですけれども、となると理想はこんな感じでしょうか。
まずサウンドバーってやつは見た目が格好良くていいですよね。WifiとかBluetooth対応なのもええ感じです。
しかし値段が中々ですね。81000円。おすすめ組み合わせ用のベースモジュールも81000円。ひょえー。
こっちの方がまだ手が届きますね、相対的に。やってきたコンポとそんなに値段は変わりませんが、歴史あるメーカーですしきっと額面以上の価値がありましょう。
ややっ。要するにブランドで選んでるだけやないかという感じになっているような。
まあでもしゃあないんですよねえ。なんせ正味の話、年を重ねるごとに聴きたいアルバムは増える一方で、もう既に一生かかっても聴き込みきれないのは確定しておりまして。ついついそっちに重心を置いてしまうのです……。
そう考えると、もらい物コンポで楽しく過ごすのがちょうどいいのかもですね……と当初の結論に着地したのでした。メーカー消滅につき壊れたらそれまでですが。もってくれよー。
BGM: Mirror Knight / Thousand Eyes
つづき。