小説家・谷津矢車さんに学ぶ読書術
読書量を増やそうという年頭の誓いを果たすべく、あれこれと読んでおります。
読書というと、好きな人でも中々時間が取れない……という悩みが多いもの。かく言う自分も大いにそういうところがあります。
なんとか改めたいと思っている時に出会ったのが、小説家の谷津矢車さんによるこの記事。
詳しくは是非とも本文を読んで頂きたいところですが、挙げられているのはスマートフォンやPC。すなわち、インターネット(と接続する端末)が障壁としてあげられているわけですね。
実に納得いく話です。仕組み上インターネットからは際限なく小間切れの情報が流入してくるわけですが、そういう持続的に続く刺激ってある種の気持ちよさがあって、止められないんですよね。
またインターネットは構造的に情報にベクトルがどんどんつきやすいので、すぐに「自分にとって気分のいい話ばかりが反響し続ける小部屋」が出来上がってしまいますし。
そうなると自分のありようへの問題意識さえ失われ、日々だらだらしているだけなのに勉強しているつもりにさえなってしまうなど、実に激やばです。
というわけで切り替えを頑張っておりまして、上のNoteでもある通り、れてくると上手くいくように思えてきます。待ち遠しくなるって感覚、分かるんですよね。ああ、あの続きが俺を待っている……楽しみ……みたいな。
まあ、谷津さんのように書評コラムをお持ちのアルファな方ならさておき、ネット上では有象無象である尼野ゆたかがネットの時間を減らすよう啓蒙するなどというのは、生きる大切さを説きながら自害するようなもんですが。これぞまさに曰く不可解(違う)。
谷津さんのコラムはこちら。年1000冊。質量を持った教養……。
ちなみに谷津さんは拙著についても度々感想を書いて下さいまして、その鋭い読みはまさに目から光線が発射され紙を突き抜けていくレベル。自分で参考にしてしまっております。
特に、時代小説のフィールドで活躍されている谷津さんに、戦国時代を舞台にした拙著「戦国昼寝姫、いざ参らぬ」を評価して頂いたのは、大変名誉なことだと思っております。以下に引用します。
「戦国昼寝姫、いざ参らぬ」(著:尼野ゆたか イラスト:鈴之助 富士見L文庫)読了。三流貴族の姫として生まれた鴻子は、弱小領主のもとに輿入れすることとなる。しかし、夫となる次郎左から、「我が右腕となれ」と宣告され……?
— 谷津矢車(戯作者/小説家) (@yatsuyaguruma) 2019年7月19日
本書は富士見L文庫というキャラクター文芸色の強いレーベル作品。そこで歴史小説とな? というわけで読んでみたのですが、レーベルカラーと歴史小説のかじ取りに唸らされました。
— 谷津矢車(戯作者/小説家) (@yatsuyaguruma) 2019年7月19日
キャラクター文芸っぽさは主人公鴻子の人物設定や初期状態、夫である次郎左との関係だけに絞られ、あとはしっかり歴史的事実に取材した内容。歴史に詳しい方なら年代もきっちり推定できるはずです。
— 谷津矢車(戯作者/小説家) (@yatsuyaguruma) 2019年7月19日
戦乱に巻き込まれ血の気が多かった京の町、白兵戦ではなく遠間での石合戦などが選ばれることが多かったリアルな戦描写、そして小領主の直面する様々な問題……こういったものが、鴻子の視点から語られてゆきます。
— 谷津矢車(戯作者/小説家) (@yatsuyaguruma) 2019年7月19日
本書が面白いのが、男の論理で動きがちであると描写される戦国の世にあって、諸般の事情で男装することになった鴻子が男の論理の間隙を縫って策を披露するところにあります。
— 谷津矢車(戯作者/小説家) (@yatsuyaguruma) 2019年7月19日
(男装ものということは、もしかして今後ああいう展開やこういう展開もあるのかしらんとワクワクしている今日この頃)
— 谷津矢車(戯作者/小説家) (@yatsuyaguruma) 2019年7月19日
こんなにも丁寧に書いて頂いて、何とお礼を申し上げればよいやら……。 戦国昼寝姫はこれからも大事にして行きたいと思っている作品ですので、改めて胸に留めておきたいものです。
BGM: Side Effects / Mads Langer and Tim Christensen