お茶零した。

作家・尼野ゆたかの日記です

審判のメイス三巻!

 

 
審判のメイスの最終巻。発売日に買って読了しておりましたが、文章をまとめるのに少し暇がかかってしまいました。
面白かったー! でもいいんですけどね、それを許さぬ熱気がページから立ち上っておりまして。
 

 

バトル!

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画像は電撃ホビー様から

最終巻に相応しいバトル主軸の構成。「邪魔をするな!」「邪魔してるんだよ!」なんていうザ・ガンダムなコール&レスポンスも飛び出して、否が応でも盛り上がります。
なんせ、ハンマ・ハンマという「本伝」でも存在感を持つモビルスーツを向こうに回しての大立ち回りですよ。主役メカ・グリンブルスティの活躍を追ってきた読者として、胸が熱くなってしまうというもの。
 

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描き込みの密度を上げ過ぎて大変だった、というのはRohgun先生ご自身の談ですが、その努力は圧倒的な迫力となって結実しておりました。
しなる有線アーム、歯がみしたくなるほどの鍔迫り合い、爆発の中から姿を現す傷だらけのグリンブルスティ、その姿に宿る主人公・ヨーンの凄まじいまでの気迫!
 
そんな激闘なればこそ、戦い終わって「涙が止まらない」と独り呟くヨーン、その内心を共有するかの如くグリンブルスティが見せる「表情」が、美しいコントラストを描きながら読む者の心を掴みます。
 
 

ストーリー!

敵方の背負った哀しい物語にフォーカスしながらも、物語が着地するのはあるべき大団円。
適切な要素を適切に配してきっちり組み立てられた神野さんによるストーリーと、作を重ねるごとに表現力を増すRohgunさんの漫画により、朗らかでポジティブな読後感を味わえました。
ばたばた人が死んだり苦い後味が残ったりしがちなガンダムにおいて、やや珍しいかもしれない後味ですね。
さりげない台詞から、宇宙世紀*1の歴史の流れにある事件だと感じさせる手管も見事なもの。
 
 

イラスト!

個人的に触れておきたいのが扉絵。エスターとアイリス、二人の凛々しさに目を奪われました。ヒロインであると同時に戦士なのだなと、そう感じさせてくれる素晴らしい絵です。
 
Rohgunさんが、動きのある漫画のコマだけなくいわゆる「一枚絵」でも十二分の力をお持ちであることは、最近FGOのイラストで4万いいねOverの大ブレイクを果たされたことからも明らか。以前、雑誌連載小説のイラストの仕事をお願いした際も、とても素敵な絵を提供して下さいました。
ちなみにいつでもリブートできる備えはあるのですが! ヌウウ!<連載小説
 
あと、オマケページのSDガンダムTwitterでもしばしば披露されていますね)の完成度といい、実に芸達者です。
 
 

予定通り完結!

物語やキャラの持つポテンシャル的にやはり3巻では勿体ないなあ……という思いがある一方で、予定通りの三巻でまとまったことは喜ばしく感じます。事件は解決し、は困難な任務から生還し、様々な恋愛模様にも進展はあり。何とも言えぬ満足感と安心感を抱きながらページを閉じられたのでした。あるべき所に辿り着いた物語は幸いなるかな。
 
 
神野淳一先生、Rohgun先生、お疲れ様でした。今後の更なる活躍をお祈りしております。
 

 

*1:ガンダム世界の暦の一つ。アムロガンダムに初めて乗るのが0079年