誉田龍一先生のこと
時代小説を中心に活躍していらした誉田龍一先生が、逝去されました。
とてもよくして頂いていたので、本当にショックでした。
大阪書店員懇親会に初めて参加した際、一番に声をかけてくださったのが誉田先生でした。
今でもそうですが引っ込み思案なものでして、がちがちに緊張していたのですが、誉田先生はそんな自分に気さくに声をかけてくださいました。
おかげで緊張もほぐれ、沢山の知人を作ることができました。今では色々な場に参加しておりますが、その最初の一歩を踏み出させてくださったのが誉田先生でした。
親子ほど年が離れているにもかかわらず、誉田先生は自分のことを「尼野さん、尼野さん」と一人の作家として対等に遇して下さいました。
自分が小説を発表するたびに先生からはお褒めの言葉を頂きまして、
自分にとって初めての時代小説シリーズと言うべき「戦国昼寝姫、いざ参らぬ」を発表した際も、手放しで絶賛して下さいました。本当に嬉しく、心に残っています。
先生の最晩年の作となってしまった、よろず屋お市シリーズ。
主人公・お市の物語は二巻で大きく展開し、続きを楽しみにしておりました。
三巻で見事に締めくくられたのか、あるいは更なる世界の広がりを見せたのか。それは、今となっては永遠に分かりません。
ご無念は、いかばかりであったことか。想像するにあまりあります。
そしてだからこそ、残された自分はできることをやっていこうと思います。
なんかもう、やりたいこと、書きたい小説、読みたい本、食べたいもの、行きたい場所、みんなみんなできるうちにやっとこうな、という気になる。我慢せず、後回しにせず。
— 福田和代@「生還せよ」文庫版出ました! (@kazuyo_fuku) 2020年3月12日
人間なんてほんとに、いつフワッといなくなるかもわかんないし。
先生のお人柄を偲ぶツイートが沢山あって、その一つ一つがとても胸に響きましたが、中でもとても印象に残ったのが福田和代さんのこのお言葉です。
そうだよなあ。やれるだけやりたいよなあ。という感じで。
おりしも新型ウイルスが蔓延し、それに伴い世界経済が未曾有の危機を迎えようとしております。
小説を書いて生きることが、もっともっと大変な世の中になっていきそうです。
しかし、生きている限り書き続けるチャンスはどこかにあるはず。諦めず自分の書いたものを読者の方へお届けすることで、誉田先生へのご恩返しとしていきたく思います。