心にも あらでうき世になんとやら
ちょいと風邪気味なので大人しく。明日までには治さねば……。
実際の道長はそんな左うちわでおじゃるみたいな感じでもなく、ぽんこつな身内の不手際に頭を痛めたり税の徴収で色々不都合が起こり苦労していたみたいなのを読んだ覚えがありますが、まあ勝ち組は勝ち組なわけで。
道長に敗れた三条天皇が詠んだ「心にも あらでうき世に ながらへば 恋しかるべき 夜半の月かな」と対比すれば、そのことがよく理解できましょう。
小倉百人一首でも群を抜いて厭世的空気に溢れたこの歌は、三条天皇が道長の圧力に負けて譲位する際に詠んだ歌だとされます。目の病気になり、妙薬を飲んだら失明し、(なぜか)立て続けに内裏が焼亡しするという「不幸」が連続した果ての譲位であり、そして譲位して一年ほどで三条天皇はこの世を去りました。そのことを考え合わせれば、ポーズやスタイルではない本物の絶望が詠まれていると言っても過言ではないでしょう。
特に現代語に訳したものを参照しなくても大意が掴めることもあって、非常に胸に迫るものがありますね。まさしく光に対する影。
三条天皇と道長の対立の根底には、天皇が道長の娘である妍子(けんし)が入内してからも即位前からの妻である娍子(せいし)を皇后としたことが大きいそうです。なぜそのような行動を取ったのか、天皇や娍子の心はどこにあったのか。勝者の頭上に輝く望月が照らさぬ闇を見透かすのも、また一興でありましょう。
なんちゃって! 格好付けすぎたかな!
BGM: Shadow Of The Moon / Blackmore's Night