フィギュアスケートとロック その2 ～オリンピック編～
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スーパーで6本888円の豆乳を買った帰り道。ポータブルプレイヤーでドイツのヘヴィメタルバンド・Rageの新譜を聴きながら坂道をぼけっと歩いていると、脇を小学生くらいの男の子が駆け抜けていき、追い抜きざまにこちらを振り向いてきました。
それだけでも戸惑うところですが、男の子の表情はえらく切羽詰まったものでした。これは大変です。何か深刻な事態でも勃発したのでしょうか。
たとえば近くで交通事故があった？ 携帯持って出るの忘れてたので救急車は呼べません。変質者に追われている？ 手持ちの武器は1リットルの豆乳パック6本です。ああ、なんということでしょう……子供に頼られてもあんまり役に立たない……！
と己の無力さを嘆いていても仕方ありません。とにかくイヤホンを外して「はい？」と訊ねてみると、子供は切羽詰まった表情のまま「こんにちは」と挨拶してきました。
そんな必死になって挨拶される心当たりはありません。少なからず動揺しながらも、とりあえずこちらも懸命に笑顔を作って「こんにちは」と挨拶を返したのでした。
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