お茶零した。

作家・尼野ゆたかの日記です

月の光が差し込んできて

暗い部屋に入って電気を付けようとしたら、外から光が差し込んでいることに気付きました。

 

 

街灯や隣家の明かりが入る角度ではなく、おや? と思って外を見たら月明かりでした。思わずはしゃいでしまいましたね。なんせ生まれ育ちが工業都市の国道そばなもんで、こういうものがとても大切に思えるのです。

 

しばし差し込んでいる部分に寝っ転がって、月の光を浴びてみました。まあ言い伝えに基づいて考えるとこんなことしてたら頭がおかしくなるのですが、元々様々な観点から正常と言えるかどうかあやしいもんですし、かえって好影響が期待できるかもしれません。マイナスにマイナスをかければプラス。

 

尾崎放哉の「こんなよい月を一人で見て寝る」という教科書にも載ってるあれを思い出したりしました。

人間関係が上手くいかなかった彼の人生を踏まえてストレートに解釈すれば、美しい月を分かち合う相手がいない孤独がテーマでしょうし、他の句の傾向を見ても多分そうなのでしょう。

しかし、とても素敵な月を一人占めできるという幸福を詠んだと解釈することも、ひょっとしたらありかもしれません。いるのは自分と月の光だけ。考えてみれば、とても贅沢なことではないでしょうか。

BGM: Suite bergamasque, L.75 - 3. Clair de lune / Jean-Yves Thibaudet