お茶零した。

作家・尼野ゆたかの日記です

最近聴いた一枚~Riot「Armor Of Light」

Riotの新譜「Armor Of Light」を聴きました。やー素晴らしいアルバムです。

 

 

 ひかりのよろい を そうびしますか?

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マスコットであるアザラシのジョニーをフィーチャーしまくった実に素敵なジャケですが、誰も彼も軽装で上半身を露出しているのが気にかかります。光の鎧はどこへいったんだ……。人間の目には見えない波長の光でできているとかそういうことでしょうか。

 

速いのなんのって

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先行トラックでもある強力無比の疾走ナンバー"Victory"で幕を開け、 続く"End Of The World"も同様に印象的な歌メロを持つアップテンポな一曲。さてここからどうなるのかと思いきや、7曲目の"Armor Of Light"まで、すなわちレコードでいうところのA面全てを「速い曲」で押し通す*1という大人げない構成になっていました。ひゃーなんてこった。

 

それをツーバスドコドコフル稼動で支えるのは、メタルとしては珍しいオープンハンド・ドラマー*2のフランク・ギルクライスト。パワフルにしてスピーディ、まさにメタルって感じのプレイということでよいでしょうか。

 

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新作のキービジュアルたるこのイラストにおいても、楽器陣が色々武装する中一人だけ変わらずドラムスティックというストイックさが際立っています。

 

 

速い曲主体になると「スピードで誤魔化しているのではないか?」と揶揄する人が現れがちですが、前述の"Victory"やPVが作られた"Heart Of A Lion"のような疾走曲は勿論、7曲連続拘束を受けて登場する8曲目"Set the World Alight"や本編ラストの"Unbelief"のようなミドルテンポナンバーに至るまで充実したメロディや、 起承転結・序破急を踏まえて入念に構築されたギターソロの数々が、そのような不当なる弾圧を粉砕しています。

 

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獅子心王リチャード1世をテーマに据えた曲。勇敢という概念を旋律に置き換えたようなサビに、否応なく高揚させられます。

ただ曲の終わり方は毎回「んお!?」となってしまったりするのですが。これはこういうものなのであろうか……。

 

歌う社長トッド・マイケル・ホール、今回も大活躍

そして、やはり触れねばならぬのがトッド・マイケル・ホールの圧倒的なパフォーマンス。

ヘヴィメタルが俺の血管を駆け巡ると高らかに歌う"Angel's Thunder, Devil's Reign"や、すでに触れました”Heart of a Lion"のサビの力強さ、勇壮さは颯爽とした彼の歌声あってのことでしょう。鋼鉄音楽史に残る名曲"Thundersteel"のリレコーディングという大任も、危なげなく果たしています。
 
彼はライブでもこのまんまの声で完璧に歌いきりますからね……。まったくもってただ者ではない。毎度出し忘れるBURRN! の年間投票、ヴォーカル部門は彼かもしれません。基本出す時はずっとティモ・コティペルトなんですが。
 
 
 
こういう曲に説得力があるとアルバムがぐっと締まりますよね。
今回大手レーベルから出てるせいか、PVやリリックビデオが豊富です。今後も続けばいいなあ。。
 

Riotは現役である(一ヶ月ぶり三度目)

しかしまあとにかく凄いのが、音にロートル感がないところ。やる気に満ち溢れています。過去の名曲が脳裏をよぎるような瞬間が時たまありますが、それも焼き直しや使い回しではなく奥義として通用しているからただ事ではない。

SabatonとかPowerwolfみたいな母国の公式チャートでトップを張ってしまう当今流行りのパワーメタルバンドのようにいくかどうかは分かりませんけれども、おじさんの懐古みたいな扱いを受けることなく、今を生きる現役のメタルアルバムとして評価されることを祈るばかりです。名盤ですよ。

 
 
と書いたものを見直してみると、前作「Unleash The Fire」の時は「ウ、ウワアア! ライオット! ライオットオオオ!」みたいな感じで拳を高々と突き上げたものですが、その時に比べたら幾分か冷静な気もします。現編成のRiotというものに慣れてきたのかな。
何十回と聴いたらまた印象も変わりましょうし、それも楽しみであります。
 

BGM: Angel's Thunder, Devil's Reign / Riot

*1:3曲目のAngel's Thunder, Devil's Reignは疾走とはまた違う三連リフの曲ですが、体感的にかなり速い

*2:両手を交差させずに叩くスタイル