お茶零した。

作家・尼野ゆたかの日記です

家の前で道路工事があって大変だったという話

先日のことですけど。
前々から連絡は来ていたのですが、家の前の道でアスファルトの再舗装工事が行われました。

 

命取りだった判断ミス

その日は原稿のセルフ締め切りでして、ずっと仕事に取り組んでおりました。結構あまり体感したことがないタイプの低音が響いてきていましたが、音楽やらホワイトカラーやらを流していて気にならず、それなりによい感じでまとまっておりました。

 

昼下がり。そういえば買い物をしなければならないということに思い当たりました。豚コマが安かったのです。
別に買わなくていいといえば買わなくていいのですが、その時の自分はなぜかどうしても行かねばならないという使命感に駆られたのです。
家から出てみると、前の道路のアスファルトは剥がされて完全な砂利道になっておりました。この状態で無理に不要不急の買い物に行くというのはありえないわけですが、尼野ゆたかは「しゃっと行ってしゃっと帰ってきたらええやろ」と家を飛び出し、通行止めになっていなかった道を抜けてスーパーに向かったのでした。

まったくおかしな話ですね……。今思い返しても謎ですが、必死で考えごとをしていると時として常識では計り知れない行動を取ってしまうことがありまして……。

 

 

しゃっといってしゃっと帰ってきた尼野ゆたかですが、工事の人たちの技術は尼野ゆたかの移動能力を遥かに上回っており、戻ってきた頃には家の前では今まさにアスファルトを塗り固める作業が進んでいました。なんてこった! しめだされてしまった!


工事の時間は決まっていたので、それが終わってから帰ればいいだけの話ですが、上記の通りセルフ締め切りなのであまりぼんやりしたくありませんでした。セルフなんだったら急がなくてもいいじゃないかとお考えかもしれませんが、そうはいきません。
締め切りというと売れてる作家が編集者に追われて助けてーみたいなイメージがありますが、自分のような人間の場合そんなに急かされません。ただ遅ければ遅いほどチャンスが他にいってしまい、出番が遠のくということです。それを考えてのセルフ締め切りなわけです。締め切りとは追われるものではなくて追いかけるものなのですね。

更に言うとその日は最高気温がゼロ度という凄まじい日で、早急に屋内に入らないと普通に凍えてしまうということもありました。工事の人たちはすごいな……。


というわけで向かったのは近くのコープ。コープはイートイン的なスペース(カップ式自動販売機付き)があるので、喫茶店代わりにちょうどいいんですよね。普通の喫茶店もあるにはありますが、コープの方が近かったのでコープに決定。
ボールペンは常に鞄に入れているのでノートを買い、あと利用料金の代わりに自販機でカフェオレも買って作業を始めました。さあ頑張ろう!

 

作業環境の重要性

と意気込んで始めたものの、これがまあはかどらないことはかどらないこと。
実は尼野ゆたかが仕事するにあたってただじっと座って黙々と書くだけではなく、立ち上がってうろうろしたり唸ったり焦点の定まらない目で固まったりと様々な行為が付随して必要なのですが、いずれも人前でやると極めて奇異に思われるだろうアクションばかりで、まずそれを意識して我慢しないといけないのですね。
すると作業そのものにあんまり集中できず、いつも通りのパフォーマンスが維持できないというわけです。

昔の作家は喫茶店で、最近の作家はファミレスで書くというのがよくありますが、尼野ゆたかには不可能ですね……。「いきなり立ち上がって歩き回れるカフェ」みたいなのがオープンすれば可能かもしれませんが、そんなん自分ちでネスカフェのコーヒー飲んでサッポロポテトでも食いながらやれって話ですし……。

 

教訓「家の前が舗装されそうな時はよく考えてから外出する」

とまあ大きな困難を伴ったもののどうにかこうにか区切りを付け、工事の時間が終わる頃合いにコープを後にして帰宅しました。

ものの数時間でしっかり固まったアスファルトを踏みしめて歩きながら、尼野ゆたかはよく考えて行動することの重要性を噛み締めたのでした。当たり前だよ!

BGM: Robe Of Ectoplasm / Spiritus Mortis