お茶零した。

作家・尼野ゆたかの日記です

「Googleの医療や健康に関する検索結果のアップデート」がどんなものかちょっとだけ調べてみたら

www.buzzfeed.com

というわけで、昨日日記を書きかけて消滅してしまったこの話です。さてどれくらい効果があるのかと自分で調べてみました。

 

 

単語単位だと、見事なほどきっちりしたサイトがピックアップされる感じです。
頭痛で出てくる「すっきりんのバイバイ頭痛講座」とか、「不眠」で出てくる「スイミンネット」「フミナーズ」などぱっと見何者なのか分からないサイトも、それぞれ身元が明らかです(すっきりん→ファイザー スイミンネット→田辺三菱製薬 フミナーズ→帝人)。

 

 

しかし、組み合わせだとそうもいかないようで。

たとえば、自分は酒に弱くすぐに節々やふくらはぎが筋肉痛のような感覚に襲われるのですが、検索すると「その痛みはアルコール筋症(ミオパチー)が原因である」と断じるかのようなNaverまとめNaverまとめ注意)がトップに表示されます。しかしこれはかなり微妙な代物で、出典を沢山引いているかのように見せつつ記事を都合のいい部分だけパッチワークしてるかのようにも読めるんですよね。

 

当該まとめが冒頭で引用している記事をよく読むと、医師の言葉として「長い間お酒をたくさん飲んでいると、肝臓だけでなく、全身の臓器に悪影響を及ぼします。そのなかには末梢神経などの障害も含まれます。一つは『アルコール性多発神経炎』と言われるもので、手足のしびれや痛み、感覚異常などが症状として現れるもの。もう一つは、『アルコール性筋炎』と言われるもので、筋肉が痛んだり、脱力・麻痺といった症状が現れるんですよ」という部分があるにもかかわらず、そこは伏せて別のサイトから「お酒の弱いひとや極端な大酒飲みに発症しやすい」という部分を引っ張ってきて、飲酒習慣が原因とされる病気をアルコールに弱いだけで起こりうるかのように錯覚させる編集を行っています(しかも名称が微妙に違う)。

 

しかも後者は正確には「お酒の弱いひとや極端な大酒飲みに発症しやすいみたいです」というよくある責任逃れの文章であるというのに、伝聞調にしてニュアンスを弱めている部分を故意に抜いているあたり悪質と言わざるを得ません。
要するに弱い人間は飲むなという啓示なのでしょう」という雑なまとめ方をしているサイトを使っているあたりも、いかがなものかと。

 

とはいえ、アップデート以前には同じ文章をコピーしてミオパチーミオパチー繰り返す「健康ブログ」みたいなのがどかどか引っかかっていて(原文は10年以上前のとあるメルマガで、それをコピーした文章が大量に溢れていました)、それらが排除されてまともな情報にも多少アクセスしやすくなっていてるんですけどね。

具体的に言いますと、もう少し下の結果ではGoogle Booksの試し読みとして公益社団法人アルコール健康医学協会によるハンドブックが閲覧でき、「ミオパチー」なるものがおそらくアルコールの弱さに起因するものではない(ネット検索結果だけでも)推測できるようになっております。うんうん。

 

 

健康については、やはり最終的には素人判断ではなく信頼できるお医者さんの助言を受けるのが正解でしょうが、しかしこういう試みはとても素晴らしいことだと思います。これからも頑張ってほしいものですね。

BGM: Tragedy Of The Faithful / Dismember