お茶零した。

作家・尼野ゆたかの日記です

滑り込みでスパイダーマン:ホームカミングを観ました(続き

そういや書き忘れてましたが、印象深かったのがキャスティングでした。

 

 

バラエティ豊かなキャスティング

 

 スパイダーマンことピーター・パーカーを演じるトム・ホランドは白人でしたが*1、相棒・ネッド役のジェイコブ・バタロンはアジア系でした。

 

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見るからに東南アジア系の彼ですが、実際両親はフィリピンからの移民だそうで。

トークショー的なものに出ている様子を見ると全然表情が違っていて、体型だけじゃなくてしっかり演技してるんだなあと。なのに映画はほぼ初出演らしいです。すごい。

似てるってわけじゃないですけどサモハンを思い出します。どんぐり眼で太ってるからか。

 

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ヒロイン的な役割のローラ・ハリアーゼンデイヤは二人とも白人ではありません。

ゼンデイヤ演じる下の子がいいんですよ。ぶっきらぼうで思いやりがあって。絵がやたらうまくて描いてるんですけど、ただ不思議ちゃんじゃなくてインテリでもあって。マーベル・シネマティック・ユニバースのヒロインの中でもトップクラス。

 

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ピーターをいじめてくるフラッシュ・トンプソンはラテン系。今までのスパイダーマン映画だと、バックトゥザフューチャーのビフ的な図体デカい白人野郎だったのですが、鼻持ちならない金持ちへと変わっていました。演じるトニー・レヴォロリの両親はグアテマラ出身だそう。

 

他にも、学校の校長もアジア系だったり、敵となる一味も人種はばらばらだったり、設定上ピーターがイタリア系アメリカ人*2の血を引いていることが示唆されていました*3

 

求めにただ応じるだけではなく

これは勿論、最近のアメリカの映画やドラマで要求されるという人種的な公平さを考慮してのことでしょう。女性の扱いについて判定するテストが存在したりと、あちらのフィクション作品は配慮すべき点が多くて色々大変だという話はよく耳にします。

 

そういう要求にただ応えるだけだと、説教臭くなってダイナミズムが失われてしまうところです。しかしこの作品はごくごく自然にその世界を作り上げ、エンターテイメント性を阻害しない作りになっていました。台詞の一つ一つ、ワンシーンワンシーンの演技にもこだわったのでしょう。

それだけなら「よくできた」という範疇にとどまるところですが、先入観を逆手に取った仕掛けもあったりして。自分はまんまと引っかかりました。こういう手法を恐れずに取り入れるところに圧倒されるばかり。

 

直近のヒット作だとズートピアやモアナと伝説の海を観た時にも感じましたが、ただ要求に応えて花丸をもらうのではなく、踏まえた上で踏み込んで一手を加えるところに真髄があるのかもしれませんね。

 

 

それができるのか、というと……まだまだこれからで恥ずかしい限りですが。いや、そんな予防線を張ってる場合ではない。やるしかないのだ。

BGM: Hotel California / Jorn 

 

*1:そりゃまあピーターは伝統的にそうですからね

*2:白人の中ではマジョリティではない、らしい

*3:ピーターのおばさんを指して「イタリア系の美人」と評価している台詞がある