浪花のモーツァルトを全国区へ！？
平尾昌晃亡き後、紅白歌合戦で蛍の光を指揮するのは誰になるかと考えていました。
いや、実際のところ紅白は最早付き合いで見るものと化していますし（紅白大好き人間に見るよう要求されている）、誰が指揮しようとさほど違わないのですが、考え始めるとなんか結論が出るまで考えないと気が済まないんですよね。
しかし、これが中々思いつきません。そもそもポップス絡みで指揮って多分バックバンドとか会った頃の歌番組の文化ですから、ある時期以降の人だとしっくりこないと思うんですよね。
指揮していても違和感がない世代で、なおかつ知名度もある音楽関係者、うーん……あっ！ 一人いた！ キダタロー！ 浪花のモーツァルトだ！
浪花のモーツァルトとは
といっても、近畿圏の人以外は誰なんだいそれという感じでしょう。いつの間に大阪がモーツァルトを輩出していたんだみたいな。
非近畿人の知人に訊いても、何かと混同していると思われる返答がかえってきました。タイトルではないのだ……。
これがキダタローです。アホの坂田こと坂田利夫のテーマソングの作曲者であることと、装備品を隠そうともしないヘアスタイルで知られており*1、誰がつけたか「浪花のモーツァルト」という肩書きでテレビによく出てくる作曲家です。
そのため近畿圏では知名度が高いですし、また指揮棒を振っていてもあんまり違和感のない雰囲気があるようにも思えます。よし、これだ！ キダタロー紅白デビューだ！
……いや、やっぱりあかんかな……なんかすごい無理がある感じがします。キダタロー知ってる人なら分かるでしょうが、なんかこう……ああいう舞台は違う感じがします。
そもそも、近畿生まれ近畿育ち近畿在住の尼野ゆたかですが、彼の作曲家としての実績はアホの坂田以外知りません。大体ワイドショーとかナイトスクープで喋ってるとこしか見たことありませんし。実は円広志*2辺りと同じ、近畿圏でのみ知名度の高い大いなる一発屋だったのでしょうか？
キダタローは偉大な作曲家なのか
というわけで、とりあえず調べてみましょう。Wikipediaには彼の作曲家としての実績がやたら詳細に載っています。さて、アホの坂田以外にどんな曲を作っていたのでしょうか。
まずはCM曲の項目を見てみましょう。
○有馬兵衛向陽閣
ウワアアアア！？ こ、これキダタローだったのか！
その名の通り有馬温泉にある旅館なんですが、近畿圏の人ならこの文字列を見るとメロディとおばちゃんの声が浮かぶのではないでしょうか。ありっまひょ～えのこーおよーおかっくへー。
最新バージョンのCM。あまりに昭和なメロディとアレンジは最早映像と噛み合っていないんですが、15秒で二回も使い公式のYoutubeアカウントにも堂々と映像をアップしているところに老舗の矜持を感じます。
○アサヒペン
グワアアア！ アアア！ アサヒペーンという強烈がフレーズが一発でよみがえるうう！
こちらも現代的な作りのCMになっているのですが、最後の最後で待ってましたとばかりにアサヒペーンという大仰なメロディが出てきます。芯の部分は変わらないという表明にも聞こえて格好良いですね。
○ああ尼崎市民家族
タイトルだけでは分かりませんでしたがウオオ！ これは市バスでかかるヤツやないか！
そういや話変わりますが、去年でアマの市バスが民営化されてしまったんですよね。
またひとつ地元の思い出があれへんようになったなぁ……と関係なくも切ない気持ちになってしまいました。
市バスでは終点時に流れたんですよね。やや聞き取りづらいですが、15秒辺りからアナウンスの後ろにメロディが聞こえます。出屋敷終点ということは塚口～出屋敷間のバスかな。なに系統か数字は忘れましたが。
○かに道楽
○551蓬莱
ブフォッ……そ……そんなまさか……。マジでキダタローなんかいな……。
この辺りだと、いちいち貼らずともよその方でも存在くらいはご存じではないでしょうか。大阪名物って感じで。
○チキンラーメン（日清食品）
○出前一丁
ここまで来ると完全に全国区です。「すぐおいしいー、すごくおいしー」と「あーらよっでまえいっちょー」ですね。すごい……浪花のモーツァルトは本当にモーツァルトだった……。
年齢問題
実績は十分だということが判明しました。いざキダタローを日本のモーツァルトへおしあげよう！
……と言いたいところですが、一つ問題がありまして。自分らが子供の頃からあの外見なので忘れがちなんですが、なんとキダタローは今年で87歳なんですよね……平尾昌晃より遥かに年上やがな……。
これは変に大きな舞台に上げて寿命を縮めるより、のんびり近畿地方で長生きしてもらう方がええような気がしてきました。キダタローの訃報とかあんまみたくないですしね。
BGM: Shat Out of Hell / Cradle Of Filth
